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バレエに多い怪我とその症状

これまでノヅ・カイロ・クリニックにご来院されたバレエや各種ダンスをされていらっしゃる方の中で、多くみられた怪我や障害を部位別にまとめました。 同じ症状でお悩みの方は、是非一度ご相談下さい。

股関節・骨盤編

 1.ハムストリングス付着部炎(PHT)
 2.グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)
 3.スポーツヘルニア
 4.腸恥滑液包炎(ちょうちかつえきほうえん)
 5.転子滑液包炎(てんしかつえきほうえん)
 6.仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)

1. ハムストリングス付着部炎

太ももの後面にある大腿二頭筋(だいたいにとうきん)半膜様筋(はんまくようきん)、半腱様筋(はんけんようきん)、これら3つの筋肉の総称をハムストリングと呼びます。 骨盤の坐骨結節から始まり、膝下の脛骨におよび、主に股関節を伸ばす、膝を曲げる動作を担っています。
「ストレッチするとお尻に痛みが出る」という場合の多くが、ハムストリングス付着部炎(PHT)です。これはハムストリングスに過度な牽引力が加わることで腱の付着部である坐骨結節に炎症が起こったものです。
ダンサーの場合、バットマンやアラベスク・パンシェ、グランジュッテなどでなりやすいですが、ウォーミングアップが不足した状態でストレッチを行うことでも起こります。 無理にストレッチやバットマンなどの動作を行うと、付着部の剥離や炎症が更に進行する場合もあるので注意が必要です。



2.グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)

グロインペイン症候群は、スポーツヘルニア・恥骨結合炎・大腿内転筋付着部炎・大腿直筋炎・腹直筋付着部炎・腸腰筋炎など鼠径部(そけいぶ)周囲に痛みを生じる症例を総称した呼び名です。 腸腰筋や大腿直筋、内転筋などのオーバーユースによって、筋力低下や柔軟性の低下、拘縮が起こり炎症を起こすことによって痛みを生じます。 股関節や足の付け根に圧痛や運動痛があるだけでなく、下腹部やその周囲にも放散するような疼痛を訴える事があります。

3.スポーツヘルニア

鼠径ヘルニアとは、俗に「脱腸」と呼ばれ、腸などの臓器の一部が、足の付け根である鼠径部から外に飛び出して膨らんでくる病気です。 スポーツヘルニアの場合は、鼠径管(外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋でつくられたトンネル)の後ろ側の壁が、弱くなってしまった状態で腹圧がかかった場合、鼠径管やその周囲の組織を圧迫することによって痛みが発生するもので、臓器が本当に飛び出してくるものではありません。 この症状はサッカー選手に多く見られますが、股関節の屈曲、内転、捻りの動作が多く、腹部に圧力の掛かることのあるダンサーにも見られます。

4.腸恥滑液包炎(ちょうちかつえきほうえん)

腸恥滑液包炎は、大腿骨頭の前側にある腸恥滑液包が大腰筋によって摩擦を受け、炎症が生じることによって起こります。 滑液包とは、滑液という液体が入った袋状のもので、腱・靭帯などと摩擦を受ける部位(膝関節・足関節・肩関節他)に存在します。 オーバーユースが主な原因ですが、内科的疾患(感染症、痛風、リウマチなど)でも発症し、腫れや圧痛、可動域の制限があるのが特徴です。 仰向けに寝た状態で、痛みのある側の膝を立て(股関節屈曲位)にすると痛み、内側に倒すと痛みが増します。
バレエダンサーの場合、ドゥバンやアラスゴンドのデベロッペをしたときに痛みを訴えるケースが多くみられます。

5.転子滑液包炎(てんしかつえきほうえん)

股関節の外側で大腿骨の出っ張ったところを大転子と言います。大転子滑液包は大転子と中殿筋腱腸脛靱帯との間にあり、ここが摩擦によるダメージを受けて炎症を起こしたのが転子滑液包炎です。大転子上に圧痛があり、階段の上りや患部を下にして横になることで痛み、外側に重心がかかると痛みが増します。 オーバーユースが主な原因ですが、中殿筋が左右アンバランスで脚長差があることもその要因として考えられます。 外側重心で踊っていると発生のリスクが高まるので気を付けましょう。

6.仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)

仙腸関節(せんちょうかんせつ)は、骨盤の骨である仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)の間にある関節で、上半身の重みを支えつつ地面からの衝撃を緩和している部分であるため、複数の靭帯によって非常に強く固められ、あまり動かない関節です。片足荷重で大きな力が加わったり、骨盤のゆがみから仙腸関節にも負荷がかかりズレを起こすとその箇所が痛みます。 痛みの場所をピンポイントで指さすことができるのが特徴ですが、鼠径部や下肢に痛みを訴える場合もあります。